生活習慣を変えれば効果は期待できます。
| 対策 | 備考 | |
| @ | 肥満解消 | 肥満と高血圧は正の相関関係あり |
| A | アルコール摂取の制限 | 大量に飲めば血圧は上昇する |
| B | 塩分摂取の制限 | 理想は1日7g |
| C | カリウムを摂ること | 野菜や果物から摂る |
| D | 禁煙 |
血圧とは血液の圧力です。もう少し正確に言うと、血液の流れの勢いが動脈の壁に加える圧力です。血管には動脈と静脈があります。動脈は酸素や栄養をたっぷり含んだ動脈血を体のすみずみに配ります。酸素や栄養が細胞に取り込まれ消費されると、その代謝物として炭酸ガスが生じます。この炭酸ガスを含んだ血液は静脈に入り、静脈血としていったん心臓に戻ってから肺に送られます。そして、肺でガス交換が行われ、再び酸素の豊富なきれいな血液となって心臓に戻され、動脈からまた全身に配られていきます。左心室が一番収縮したときは、血液がものすごい勢いで動脈に押し出されますから、動脈壁にかかる圧力がもっとも高くなります。これを「収縮期血圧」あるいは「最高血圧」と言います。収縮が終わると、左心室はふくらんでまた新しい血液が貯まるのを待ちますが、血液が貯まってきて、そろそろ送り出そうかと言うときは、もっとも動脈にかかっている圧力が低いときです。このときの血圧を「拡張期血圧」または「最低血圧」と言います。単位は水銀柱をどれだけ押し上げる圧力かを示すmmHGで表します。例えば収縮期血圧が150もある人は、これを水柱に直すと2m近くの水柱を押し上げるほどの圧力です。私達のこの小さな体の中でも、血液はそれほどの高い圧力で循環しないと、すみずみの細胞まで酸素や栄養の供給がスムーズに行えないのです。ですから、血圧が下がると特に脳の血液の流れが減ってクラッとめまいがしたりします。しかし、必要以上に血圧が高く、その状態が長く続くと動脈壁は常に高い圧力のため傷んできます。太い動脈だけでなく、その先にある細い血管や臓器内の血管など全身の血管の圧も上がって傷みやすくなり、それに伴っていろいろな臓器障害がもたらされます。心臓では、血液を押し出そうとする圧に対抗する逆方向の圧がかかってくるために、心臓はさらに余分な圧をかけて血液を送り出さなければならず、心臓が肥大してきます。更に高脂血症があれば血液の粘りけが高まり、また動脈硬化が進めば血管の弾力性がなくなったり内腔が狭くなったりして、血管の抵抗性が高まって、よけい心臓に負担をかけたり高血圧を悪化させたり血管を傷めたりします。
私達の血圧は常に一定している訳ではありません。日内変動といって、1日のうちでも寝ているときは低く、活動中は高く、上がったり下がったりしています。ビックリしたりヒヤリとすれば瞬間的に血圧は上昇し、心臓がドキドキしたりします。夏より冬の方が一般に高めです。いろいろなものが血圧に影響を与えますが、まず年齢があります。年齢とともに血圧は高くなる傾向があります。遺伝的な体質も考えられます。ストレスや睡眠不足も血圧を上昇させる原因となります。特に塩分をたくさん摂る人、肥満のある人、喫煙者、習慣的にアルコールを飲むような人は、明らかに血圧が上がってきます。
高血圧の分類の仕方や基準にもいろいろありますが、WHOや米国合同委員会の血圧分類などがよく用いられます。この基準や分類は、「このような血圧値が続けば、そのほとんどの人が将来、脳卒中や心筋梗塞を起こしますよ」という数値です。上が150mmHG、下が90mmHGあたりから高血圧と考えて注意した方がいいでしょう。
WHOによる分類
| 正常血圧 | 収縮期血圧≦140mmHGかつ拡張期血圧≦90mmHG |
| 高血圧 | 収縮期血圧≧160mmHGまたは拡張期血圧≧95mmHG |
| 境界域高血圧 | 正常血圧と高血圧の中間 |
米国合同委員会による分類
| 拡張期血圧 | |
| <85mmHG | 正常血圧 |
| 85〜89 | 高値正常血圧 |
| 90〜104 | 軽症高血圧 |
| 105〜114 | 中等症高血圧 |
| ≧115 | 重症高血圧 |
| 収縮期血圧 | |
| <140mmHG | 正常血圧 |
| 140〜159 | 境界域収縮期高血圧 |
| ≧160 | 収縮期高血圧 |
高血圧は病気かどうか。その答は「高血圧は動脈硬化の重要な危険因子であるから」、放っておいてはいけないし、治療も必要なのです。高血圧があると、動脈壁に絶えず高い圧力がかかっていて、血管の内膜が刺激され続けています。このため、血液中の成分が内膜にしみこみやすくなり、アテロームが出来やすくなります。また、細小動脈がけいれん収縮するために循環障害を起こして、血流が低下しやすくなったり、血管が硬くボロボロになったりします。こうした状態が合併症を引き起こしやすくします。一般に高血圧の影響を受けるのは「脳、心、腎」で、脳血管障害(脳卒中)や虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、腎硬化症などを起こしやすくなります。脳卒中や心筋梗塞を発症する人全てが高血圧とは限りませんし、高血圧の人が必ずこれらの病気にかかるというわけではありません。発症にはいくつもの危険因子の合併がかかわっています。しかし、これらの病気を発症した人の60%以上に高血圧があるといわれます。但し、腎硬化症はもっぱら高血圧が原因になります。しかし、高血圧を初期の段階からきちんと治療しておけば、こうようなことは起こりません。脳卒中では、脳出血と脳の細い動脈の梗塞には高血圧が大きな危険因子ですが、脳の比較的太い動脈の硬化は、脂質代謝異常との関係が大きく、高血圧の影響は少ないといわれます。脳血管障害は、ある日突然、破れたり詰まったりして重大な事態を招きますが、高血圧の人がこれを起こしたときには、症状らしきものがあるといわれます。それは「後頭部の痛み」です。側頭部や頭頂部の痛みはいろいろな病気で起こりますが、後頭部だけが痛むのは、高血圧に特徴的な症状であるといわれます。この痛みは、脳の血管の動脈硬化性病変のてがかりとして重要です。
高血圧を治療するうえで、血圧の値は確かに大切な指標ですが、最も注目すべきは、高血圧の影響を受けやすい脳、心、腎の状態がどうなっているかです。WHOの「高血圧の病期分類」によれば、1期は血圧は高めですが脳・心・腎には異常は起きていません。2期は高い血圧値に加えて脳・心・腎のどこかに障害が起こっている状態、3期は高度の臓器障害が起こっています。
一般に下の血圧が高い方が、臓器障害や体に与える影響がより大きいとされていますが、上の血圧が高いか、下の血圧が高いかによって臓器障害に違いが出てくるわけではありません。どちらも問題だと思った方がいいでしょう。ただ、上の血圧は心理的なもの、ストレスなどによってけっこう動揺しますが、下の血圧はそれらによる差があまり大きく出ません。
高血圧の85〜90%は「本態性高血圧」と呼ばれる家族的な遺伝傾向がみられる高血圧です。これは、高血圧を引き起こす原因となるような異常や病気は何もなく、どういうわけか血圧だけが高いという高血圧です。もともと高血圧になりやすい体質を持っていて、そこに加齢、食塩を多く摂る食習慣、喫煙、アルコール、肥満や運動不足、ストレスなどいろいろなものが影響し合って血圧が高くなってくるのではないかと思われます。もうひとつ「二次性高血圧」という高血圧があります。これは体のどこかに高血圧を引き起こすはっきした病気があって、その病気のひとつの症状として高血圧が起こっています。二次性高血圧の中で最も多いのは腎臓の病気によって高血圧が起こっている「腎性高血圧」です。
世界各国のさまざまな調査によると血圧の上昇と血清物質、特に総コレステロールの上昇に相関関係が認められています。WHOの調査では、コレステロールを平均22.8mg/dl低下させると高血圧の発生が25%も減少するという報告もあります。しかし、高血圧の薬物治療では問題がないわけではありません。例えば利尿薬は血圧を下げますが血中の総コレステロールが上昇してしまうとか、血中の尿酸が上がって高尿酸症を引き起こすなどの副作用があり、この薬を長期に使用すると血圧は下がってもコレステロールを上昇させるために逆に動脈硬化を促進するのではないかともいわれています。