誰もが忙しすぎる時代。時間に追われ、人間関係にもまれ、押し寄せる情報の波に翻弄されて、ゆっくり息をつく暇もないのが現代人ではないでしょうか。いつも走っていないと時代に取り残されてしまいそうな不安、人間本来の自然なリズムからどんどん離れていく日々の暮らしの中で、「ストレスなんか全く感じないよ」という人は、まずいないでしょう。それも、神経が繊細だったり、感受性が豊かな人であればあるだけ、ストレスにも敏感に反応することになります。ひとつの例として「自律神経失調症」は緊張の神経である「交感神経」の緊張が高まりすぎた結果、起こる症状で、心とからだのバランスがくずれてしまうもの。ところが、これとは逆に、リラックスの神経である「副交感神経」が高まると、やはり心身がアンバランスになるという失調症が現れます。この場合は、何もする気がしなくなってしまう。寝たり起きたりでだらだらするとか、あるいは食べたいだけ節度も何もなく食べてしまうとか、とにかく生活にメリハリがなくなってしまうのです。ストレスがたまったなぁ、と自覚したら、ため込むのではなく、あなた自信の力を使ってストレスを跳ね返すことです。そして、適度な緊張という「ストレス」を転じて、これにより積極的なエネルギーに変えていくとき、あなた自身の心のボールはフレキシブルな弾力性をもち、これまでにも増して大きなパワーとなっていくに違いありません。そして、重要なことは、マイナス要素の「心のくせ」をプラスに変えるように努めることです。今すぐ変えられるとは言いませんが、でもそんな自分に、気づき、認めて、心がけると必ず大きな成果があることを、約束します。最も大切なことは「素直になる」の一言につきます。
さて、ストレスの働きは万人が同じでも、これをためこみやすい人と、そのつど解消できる人との違いというと−これはものすごい差です。個人の事情は千差万別と言っても、ストレスをためやすい人にはやはりある共通の性格があるようです。とても几帳面ですべてきちっとしていないと気がすまない人、真面目、それも上に二文字つくくらい?何でも真剣に取り組む人、完璧主義、自分に厳しく、内省的な人。ところが、残念なのは、そういう人に限って、ストレスを跳ね返す力として使う代わりに、全部自分のほうに引き受けてしまうというという傾向があります。その結果、自分自身を責めて、金縛りにあったように身動きできなくなってしまう。だから、すべてがギクシャクして、なおさらストレスが…という悪循環をたどるわけです。何かストレスを感じる場面に出くわしたら、プラス思考で考えましょう。この逆のマイナス思考の力は実に強力なもので、精神面だけでなく、肉体的にもストレートに働きかけます。
夢やロマンと反比例して、増大していくのが、自分の周囲のバリヤーです。世界に向かって大きく開かれるかわりに、垣根の中に閉じこもって、外部に対して身構えてしまう。自分に正直に生きていれば、自分のペースで無理なくやっていけるのに、つい周囲を気にして、他人に対して身構えてしまうというのも、ストレスの大きな原因と言えます。人間関係というのは相対的なものですから、相手が身構えればこちらも身構える。相手が素直にうち解けてくれれば、こちらもリラックスして…というのが自然の相互作用です。あの人がもう少し肩の力を抜いたら、楽になるのに。もう少し自分をさらけ出したら人間関係もぐっとスムーズになるのに。エエカッコシイはストレスの素、と肝に銘じておきましょう。自意識過剰も”百害あって一利なし”。他人の視線を気にして萎縮して生きるより、リラックスして伸び伸びと振る舞うほうが実際にもずっと堂々としてスマートに見えるのですから。
もしかしたらあなたは自分でも気付かないうちに、周りの人にどう思われるか、と気にしたり、他の人と自分を比べたりしながら、あなた自信の行動を規制してはいないでしょうか。そういう風潮の中で「自分はこういう立場だからこうあらねばならぬ」と、自分をワクにはめてしまう−これも実はストレスの原因となっているのです。どんなに清廉潔白な人だって、人間である以上、どこかにドロドロしたものがあるはず。インテリであろうが、社会的に地位のある知名人であろうが、人間性というのは一皮むけばみな同じ。そうそう変わるものじゃありません。ただ、社会的な制約があるために”らしく”振る舞うことが強いられているだけなのです。家に帰って、一息ついて、ありのままの自分をさらけだし、ゆったりしてリフレッシュできる場、そういうエネルギー生産の場が家庭です。あまり社会的制約に縛られすぎずに、たまには羽目をはずすことも必要ですし、人に迷惑をかけない範囲であれば、ときにはバカをやってとことん発散することも重要です。いつも他人と比べて、負けたくないと自分の行動を選んでいく人。何かが流行った、隣が新製品を買ったからといって、ただ遅れまいとする一心から、そう欲しくもないのに右へ倣えしてしまうケースもよくある話です。競争心も優越感も、結局は自分に自信がないからだと言えそうですね。本当にしっかりとした自分をもっていれば、他人がどう言おうが、世間がどううわさしようが、そんなことちっともかまわないはずでしょう。周囲が「一流」と認めてくれるから安心できる、というのでは本当の自信とはとても言えません。自信というのは、どこにおかれようと変わらないもの、自分の気持ちに正直であることから生まれるものです。何と言っても一番大切なのは自分。自分の思うとおり、楽しく、大切な自分のために生きていくのが人生。エネルギーは無限にあるわけじゃありません。周囲の思惑や、他人との比較で、その貴重なエネルギーを浪費するのはバカバカしい話。その分のエネルギーは、もっと自分自身のために使おうではありませんか。
実態のない敵−それがあなたの心に潜む「不安」ではないでしょうか。不安というのは、思えば思うほどエスカレートしていく、という不思議な性質があります。何かしよう、と思ったとき、「失敗するんじゃないか」という考えが頭をかすめると、もうそれだけで、潜在意識に悪いタネをまいたことになるのです。最初に「どうしよう」と思ったときから、もうマイナスの暗示をかけているわけで、それがどんどん追いかけてきます。思えば思うほど、雪だるま式に不安がふくれあがって、心の中を一杯に占領してしまう。すると、当然、からだも緊張しますから、どんなことをやってもうまくいくわけなんてありません。皮肉なことですが、一生懸命になればなるほどよけいな力が入って、結果は悪くなる−これがいわゆる「努力逆転」です。大事なのはスタート時点です。先のことはやってみなけれなわからないのですから、少なくとも、自分でマイナスの暗示はあたえないほうが賢明。できれば心を白紙状態にして「やれば何とかなるさ」と前向きの暗示をかけることです。ぜひ、覚えておいていただきたいのは、何かしようと思ったとき、失敗した経験をイメージすると、たちまちからだが緊張し、プレッシャーとして影響するということです。これと逆に成功の体験をイメージすると、心の中に自信があふれてきて、からだにもエネルギーが湧いてきます。ですから不安症の人、悲観的な人の課題は、まず自分のマイナスの発想を自覚し、たえずチェックすることです。このように考え方を変えることを”観の転換”と言いますが、これはいつ、どこからでも始められる手軽な方法。要はやる気次第、というわけです。自分のいつもの見方を一度突き放して、違う見方をしてみる。そうするとふだんは見えなかったものが次々と見えてくる。その中から自分にとってベストを選んでいく−感謝の気持ちも幸福感も、その中から生まれてくるものなのに違いありません。
下表のテストを実行してみて下さい。Aはプラス的要素が多く、Bはマイナス的要素が多くなっています。ですから、得点の少ない方が心の安定度が高くなります。もしも、あなたがBのほうに近かったら、できるだけAに近づくよう考え方や行動のパターンを変えてみてはいかがでしょう。ことに、「うれしさや感謝に敏感になり、その感情をストレートに表す」「気軽に誰とでもつき合うようにする」−この2つを実行するだけでも、人間関係がグッとよくなり、ストレスを受ける度合いが少なくなってくるでしょう。なお、テストの平均合計点は48.5、75点以上あればかなり情緒不安定である心配があります。
| A[プラス的要素] | 得 点 | B[マイナス的要素] |
| よく眠れる | 1・2・3・4・5 | 寝付きが悪い |
| 考えはすぐまとまる | 1・2・3・4・5 | なかなか考えがまとまらない |
| うれしさや感謝に敏感 | 1・2・3・4・5 | 文句が多いほう |
| まあまあ自信がある | 1・2・3・4・5 | 劣等感が強い |
| いつも明るいと言われている | 1・2・3・4・5 | 人に暗いと言われたことがある |
| 何でもほどほどで満足できる | 1・2・3・4・5 | 完全にやらないと気がすまない |
| あまり腹をたてない | 1・2・3・4・5 | カッとしやすい |
| 人前であまり緊張しない | 1・2・3・4・5 | 人前でかなり緊張する |
| 気分は割合安定している | 1・2・3・4・5 | すぐ落ち込む |
| 決断は早い | 1・2・3・4・5 | なかなか決断できない |
| 少しぐらいのことでは動じない | 1・2・3・4・5 | ちょっとしたことで異常にびっくりする |
| 人を信じやすい | 1・2・3・4・5 | 疑り深い |
| 会合ではいろいろな人と話し合う | 1・2・3・4・5 | 会合ではいつも一人でいる |
| 誰とでも気軽につきあえる | 1・2・3・4・5 | 気難しいほうだ |
| にぎやか好き | 1・2・3・4・5 | 一人でいるほうが好き |
| 人が幸せになると自分もうれしい | 1・2・3・4・5 | 人が幸せになるとイラ立つ |
| 好感をもたれることが多い | 1・2・3・4・5 | ときどき誤解されることがある |
| 楽観的なほう | 1・2・3・4・5 | 取り越し苦労が多い |
| どちらかと言うとおおらかである | 1・2・3・4・5 | 神経質だと思う |
| 融通性はあるほう | 1・2・3・4・5 | 妥協するのはいやだ |
なるべく静かで気分的に落ち着ける場所を選ぶこと。姿勢は仰向けに寝ても、椅子に座っても、どちらでもかまいません。目を軽く閉じて、静かに気持ちを集中し、深呼吸を数回繰り返します。「気持ちがとても落ち着いている…」と心の中でとなえます。次の以下に従って続けて下さい。
@「気持ちがとても落ち着いている」A右(左)腕がとても重いB右(左)脚がとても重いC右(左)腕がとても温かいD右(左)脚がとても温かいE心臓が規則正しく打っているF呼吸がとても楽だG胃のあたりがとても温かいH額がとても涼しいI3つ数えると気持ちよく目が覚める3回繰り返して1セッション(1回…1分〜2分) 1日に3セッション(朝・昼・晩) 事情が許さなければ1セッションでも2セッションでも可。
全部のマスターの期間は、個人差が大きくて一概には言えませんが、普通で数週間から2ヶ月くらい、遅い人では半年くらいかかる人もいます。自律訓練法の練習でもっとも大切なことは、繰り返し、繰り返し、諦めずに行うこと。自律訓練法は、冷え性や肩こり、不眠症に効果があるばかりでなく、「緊張をとく」、「あがらなくなる」、その結果、自分の能力がフルに発揮できるなど、精神面でも大きなプラスになります。
もし部屋に鏡があったらその前に立ちましょう。姿勢は正しく、できたら手をお腹にあてて、その温かさを感じながら。先ず息を深く吐きましょう。そのときに、疲れやイライラ、緊張、怒りなど、マイナスの感情を吸気とともに一気に吐き出すつもりで静かに吐きます。次は深く息を吸います。吸気とともに吸い込むのは、自信、落ち着き。やる気など。細胞の一つ一つにみずみずしい活力がみなぎるのを感じ取って下さい。そして吸い込んだプラスの要素が「体のすみずみまで広がっていく」と思い、少し止めます。マイナスはすべて吐き出して、プラスを吸い込む深呼吸。これを5〜6回繰り返して、もう一度鏡のあなたを見てご覧なさい。きっと表情が変わっているのがわかるはず。大切なのは、これを自分の生活習慣の中に組み入れてしまうことで、いったん習慣になれば、思考内容も自ずから肯定的なものになっていきます。