検診の目的は生活習慣病をはじめとする病気やからだの異常を早期に発見するとともに全身の健康状態をチェックすることにあります。健康づくりのポイントはこの検診の目的を十分に理解して検診の結果を各自の日常生活のなかで生かしていくことです。つまり検診は受けっぱなしでは意味がないということです。生活習慣病の多くは病状が悪化してからでないとハッキリとした自覚症状が出てきません。検診で「異常あり」といわれて痛くもかゆくもないからと放置しておくといつの間にか手に負えない状態になることも少なくないのです。また今回は「異常なし」といわれた人も現在の健康状態を維持・増進するために生活習慣を見直す指標として下さい。
最近は医療設備の向上により、より確かなドックの検査内容変更が注目されています。胸のX線検査は胸部CT検査に、胃のバリウム検査は胃カメラ検査に、腹部エコー検査と便潜血検査は腹部および大腸CT検査にというものです。
心臓はからだの中に血液を送り出すポンプです。この血液を送り出すときに血管の中に加わる圧力を血圧といいます。そして心臓がギュッと縮んで血液を送り出すときの圧力を最高血圧、心臓が元に戻ったときの圧力を最低血圧といいます。また、最高血圧と最低血圧の差を脈圧といい、この差が小さくなったり大きくなったりすることも問題なので注意して下さい。血圧は測定するときのいろいろな条件によって変動します。例えば1日のうちでは朝より夕方が高く、1年のうちでは冬が高く夏は低いという傾向があります。ですから5〜10mmHGくらいの差ならあまり神経質になる必要はありません。また、緊張や感情の高ぶりによっても変動します。測ってもらうときは、深呼吸をして心を落ち着けましょう。
血圧が高い場合…高血圧・肥満・腎臓や内分泌の病気・高脂血症・多血症・動脈硬化
血圧が低い場合…心不全・大出血・著しい貧血
生活習慣病の元凶である動脈硬化の進み具合を調べるために欠かせない検査です。また肝臓病とも密接なかかわりがあります。コレステロールが多くなりすぎると血管の内側にくっついて動脈硬化を引き起こし、高血圧や心筋梗塞の原因になります。しかし、コレステロールは細胞をつくる成分として、またホルモンやビタミンDなどの原料として大切な役割を果たしている脂肪の一種です。ですから、逆に少なすぎると肝臓や脳、血管などに栄養がいかなくなり、脳卒中が起こりやすくなります。多すぎず、少なすぎず、ほどほどに保つのが、健康の秘訣です。コレステロールには、動脈の血管壁にたまって動脈硬化を促進する悪玉(LDLコレステロール)と、その悪玉を血管壁から肝臓に運び去る善玉(HDLコレステロール)があります。
値が高い場合…動脈硬化症・ネフローゼ症候群・甲状腺機能低下症・糖尿病
値が低い場合…肝臓障害・貧血・栄養障害
HDLコレステロールは、血管の内側に付着した悪玉コレステロールを取り除き、肝臓に運び去る作用があります。このことから善玉コレステロールと呼ばれています。ですから、血液中の総コレステロールに対してHDLコレステロールが占める比率が高いほど、動脈硬化や心臓病になる危険性が低いとされます。適度のアルコール摂取や有酸素運動により増加し、喫煙や肥満により減少します。
値が低い場合…動脈硬化症・高血圧症・虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)・肥満症
中性脂肪はからだにとって効率的なエネルギー源で、余分なエネルギーはほとんどが中性脂肪のかたちで体内に蓄えられます。この脂肪はエネルギー不足のときに利用されますが、蓄えが多すぎると肥満や脂肪肝の原因になります。皮下脂肪の主成分がこの中性脂肪です。さらに、肥満した人は脂肪組織から中性脂肪が放出されて、血液中の中性脂肪が増加し、これが血管の壁にこびりつくと、動脈硬化などに原因になります。食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎによって高い数値となります。また、中性脂肪が増えると善玉(HDL)コレステロールが減ってきます。
無症状で病気が進行するので、「silent killer」(静かな殺し屋)と呼ばれたりします。言葉どおり、何の症状もなく静かに病気が進行し、ある日、突然、生命を落とすことにもなりえます。高脂血症になると、正常な人より、血液中の中性脂肪の含有量が高いために、血管に負担を与え続けます。次第に血管の中に瘤(こぶ)が出来始め、最終的には血管が詰まったりします。
値が高い場合…肥満症・脂肪肝・動脈硬化症・糖尿病
値が低い場合…甲状腺機能亢進症
動脈硬化を起こしやすいかどうかを調べる検査です。総コレステロール値からHDLコレステロール値を引き、この値をHDL値で割った数値が動脈硬化指数です。動脈硬化指数が小さければ小さいほど、動脈硬化を起こしにくい体質とみられます。
値が高い場合…動脈硬化症・高血圧症・虚血性心疾患・糖尿病・肥満症
高血圧や動脈硬化の進行度、眼球の病気、脳腫瘍、糖尿病などの発見の手がかりになります。眼底の血管の状態は、脳の血管の非常によく似た変化を示し、からだの中で唯一、直接血管が見えるところです。高血圧の場合、動脈は細く硬くなり、さらに悪化すると出血や斑点ができたりします。こうような変化で、全身の血管の状態を推測できます。結果はキース・ワグナー(KW)の分類、シャイエーの分類、スコットの分類などで表され段階を表す数字が大きいほど重症です。
高血圧・動脈硬化・糖尿病・網膜剥離・視神経炎・脳腫瘍
心臓の筋肉の異常、不整脈、心臓肥大、冠動脈硬化の有無などがわかります。心臓は縮んだり、元に戻るときに極弱い電気を起こし、この電気信号を合図に筋肉が動くのです。この電流の変化を波形のグラフで記録したものが心電図です。
不整脈・心臓肥大・狭心症・心筋梗塞・心不全・先天性心疾患
糖尿病発見の手がかりになります。糖尿病で血糖値が異常に高くなると尿にたくさんの糖が出るようになります。健康な人でも食後や激しい運動をしたあと、過度のストレス状態などに尿糖が出ることがありますが一時的なものです。
糖尿病・膵炎・肝臓の病気・甲状腺の病気
糖尿病発見の手がかりとなる検査です。血糖とは血液中のブドウ糖のことでからだをつくっているいろいろな組織細胞のエネルギー源となる大切な物質です。とくに脳のエネルギー源として重要で極度に減りすぎると冷や汗をかいたり動悸が起こり、さらにひどくなると昏睡に陥ることにもなりまねません。
| 区分 | 空腹時血糖値 | 食後2時間 |
| 正常型 | 100未満 | 正常型 140未満 |
| 正常高値 | 100〜110未満 | |
| 境界型糖尿病 | 110〜126未満 | 140〜200未満 |
| 糖尿病 | 126以上 | 200以上 |
値が高い場合…糖尿病・急性膵炎・膵臓ガン・肝硬変・慢性肝炎
値が低い場合…高インスリン血症・肝臓病・副腎皮質機能低下症・悪性腫瘍
糖尿病がどのくらいコントロールできているかを調べる検査です。同じく糖尿病の検査である血糖値や尿糖は検査したその時点での状態を示すものですが、この検査はもっと長期間(過去2から3ヶ月)の血糖の状態を観察することができます。しかも、血糖値が食事や飲食によって変動するのに対して、グリコヘモグロビン値はほとんど変動しないので、今では糖尿病の検査として重要なものとなっています。
| 優 | 良 | 不十分 | 不良 | 不可 | |
| HbA1c | 6.2%未満 | 6.2%〜6.9%未満 | 6.9%〜7.4%未満 | 7.4%〜8.4%未満 | 8.4%以上 |
値が高い場合…糖尿病
値が低い場合…溶血性貧血
アミラーゼは膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素で、肝臓にもっとも多く含まれています。膵臓に障害があると血液や尿の中にアミラーゼが漏れ出てきます。
値が高い場合…急性膵炎・急性胆嚢炎・急性虫垂炎・化膿性耳下腺炎・唾液腺閉塞・腎不全
値が低い場合…慢性肝炎・末期の膵臓ガン・流行性肝炎・中毒性肝炎・肝硬変
GOTとGPTは肝臓の機能をチェックする代表的な検査です。またGOTは心臓の病気とくに心筋梗塞の発見に大きな威力を発揮します。これらはトランスアミラーゼと呼ばれ、からだのタンパク質を構成するアミノ酸を造成する酵素です。ですから、からだのあらゆるところにあるわけですが、GOTは心臓に一番多く次いで肝臓、骨格筋の3ヶ所に集中しています。一方GPTはほとんどが肝臓の細胞の中に含まれています。従って、肝臓や心臓に障害が起きて細胞が壊れるとこれらの酵素が血液中に流れ出すのです。
GOTが増えた場合…心筋梗塞・進行性筋ジストロフィー
GOTとGPTが増えた場合…急性肝炎・慢性肝炎・脂肪肝・肝硬変・肝臓ガン
γ−GTPはおもに肝臓や腎臓、膵臓などに含まれている酵素です。肝臓や胆道に障害があると血液中の値が上昇してくるのでGOT・GPTとともに肝臓病発見の手がかりとなります。γ−GTPはアルコール常習者では高値を示すという特徴があるためアルコール性の肝臓障害を見つける指標となります。お酒を大量に飲む機会の多い人はくれぐれもこの値に注意してください。値が100以下であれば、節酒あるいは禁酒することですぐに正常値にもどります。注意しなくてはいけないのは100以上になった場合です。100〜200ですと、脂肪肝が進行している可能性があります。かなりお酒の飲みすぎで、病的状態になっているおそれがあります。200以上になった場合は、アルコールだけでなく、胆石や胆道がんなどによって胆道がつまっている可能性があるので、くわしい検査が必要です。アルコールが原因で500以上になる場合は、よほどの大量の飲酒、あるいは急性アルコール中毒といったきわめて危険な状態にあります。値が100をこえたら厳格な節酒か禁酒が必要です。また、一度は病院に行った方がよいでしょう。200以上になったら絶対病院に行かなくてはなりません。病院に行くと、肝臓に関係したほかの逸脱酵素(GOT、GPT、ALPなど)に加え、黄疸の有無を調べることになります。また向精神薬を常用していると増加することがあります。
値が高い場合…急性肝炎・アルコール性肝障害・肝臓ガン・閉塞性黄疸
ALPはほとんどの臓器に含まれている酵素ですが血液中のALPはおもに肝臓や骨、骨盤、小腸から流れ出たもので肝臓をへて胆汁の中に排泄されます。これらの臓器に異常があると血液中に流れ出てきます。肝機能や黄疸の鑑別、また骨の新生状態や骨盤の機能などを調べることができます。
値が高い場合…肝臓、胆道の病気・骨疾患・慢性腎不全・甲状腺機能亢進症
値が低い場合…前立腺機能低下症・肝萎縮
LDHはからだのあらゆる組織細胞の中に含まれていますが、とくに心筋、肝臓、骨格筋に多く含まれています。それらの組織が破壊されると血液中に流れ出て値が上昇します。急性肝炎の初期や転移性の肝臓ガンでは高値を示し、また心筋梗塞の診断にもよく用いられます。
急性肝炎・肝臓ガン・心筋梗塞・ガン・白血病・悪性貧血・進行性筋ジストロフィー・腎不全・膵炎
LAPは肝臓や膵臓、胆道などに多く含まれる酵素ですが異常値が出るのは肝臓と胆道に障害が出る場合がほとんどです。とくに胆汁がうったいすると血液中の濃度が高まります。このためLAPはγ−GTPやALPと合わせておもに肝臓や胆道の検査として用いられます。
肝炎・肝硬変・肝臓ガン・胆道疾患・膵炎
この検査はともに血清中のタンパクの性質を調べる検査で血清膠質反応とも呼ばれ肝臓のダメージ度が簡単にわかります。検査方法は血清の中に試薬を加え濁りや沈殿がどの程度できるかによって判断します。これに属する検査法は以前からたくさん試みられてきましたが現在一般的に行われているはチモールを試薬として用いるチモール混濁試験(TTT)と硫酸亜鉛を試薬にする硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)です。
値が高い場合…ZTT 慢性肝炎・肝硬変・膠原病・サルコイドーシス・肺結核 TTT 急性肝炎・肝硬変・高脂血症・関節炎・関節リューマチ・糖尿病
値が低い場合…ZTT 悪性高血圧症・転移性ガン・糖尿病
ChEは肝臓で作られる酵素の一種で肝臓の細胞に異常が生じると血液中の量が増えたり減ったりします。他の検査より早く異常が現れるため肝臓の障害をいち早くチェックする検査として用いられています。
値が高い場合…肝臓病・悪性腫瘍・膠原病
値が低い場合…ネフローゼ症候群・脂肪肝・甲状腺機能亢進症
栄養状態や肝臓、腎臓の機能などを調べる検査です。健康を維持するために血清中にはさまざまなタンパク質が含まれていますがその成分の1/2以上はアルブミンで残りはグロブリン、フィブリノーゲンなどです。これらの血清中のタンパク質の総量が血清総タンパクです。肝機能や腎機能に障害が起こると値が高くなったり低くなったりします。
値が高い場合…高タンパク血症・慢性肝炎・肝硬変・悪性腫瘍・脱水症
値が低い場合…低タンパク血症・肝臓障害・ネフローゼ症候群・栄養不良
血液中のタンパク質の割合は健康な人ではアルブミンが約67%、グロブリンが約33%を占めています。アルブミンをA、グロブリンをGとして比率を表したものがA/G比です。これを調べると総タンパクを調べただけではわからない異常を調べることができます。アルブミンは肝臓でのみ作られるので肝機能に異常が生じたときはA/G比は低くなります。
肝硬変・慢性肝炎・膠原病・多発性骨髄腫・慢性感染症・ネフローゼ症候群・栄養不良
主に肝臓の働きを調べる検査です。ウロビリノーゲンというのは、肝臓でつくられる胆汁のビリルビンという色素が、腸内の細菌によって分解されてできる物質です。大部分は便と一緒に排泄され、残りは腸の壁から吸収されて再び肝臓にいき、そこから血管、腎臓を通って尿と一緒に排泄されます。ですから、肝臓が処理できないほどのビリルビンがつくられたり、肝臓自体に障害があって腸から再吸収されたウロビリノーゲンを処理できなくなると、尿の中にウロビリノーゲンが多く出てきます。
増えた場合…肝臓障害・赤血球の壊れる病気・心臓病・がんこな便秘・薬剤による影響
減った場合…胆石・総胆管閉塞・抗生物質の長期服用
ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンが分解してできる黄色い色素で肝臓でつくられ胆汁に多く含まれています。肝臓や胆管などに障害が生じるとビリルビンは胆汁の中に流れ出ず、血液に入って黄疸が起こります。ビリルビンにはヘモグロビンが分解してできた間接ビリルビンと、それが肝臓で水溶性に変化した直接ビリルビンの2種類があります。この2つを合わせたものが総ビリルビンで、これらのビリルビンの量の違いから病気の診断を行う場合もあります。
黄疸・肝臓病・胆石
B型肝炎ウィルスに感染しているかどうかを調べる検査です。B型肝炎ウィルスが肝臓内で増殖すると、HBs抗原を大量につくります。このHbs抗原の存在を調べることで、間接的にB型肝炎ウィルスの存在を知ることができます。B型肝炎ウィルスに感染しても肝炎になるとは限りませんが、血液中にウィルスが含まれているので、ほかの人に感染させない配慮が必要になります。
急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・肝臓ガン
検査方法は2種類あって、1つは尿中にタンパクが出ているかどうかを調べる定性検査、もう1つはタンパクがどのくらい出ているのかの量を調べる定量検査で、これは定性検査で陽性(+)にでたときに行われます。正常な人でも激しい運動、ストレス、タンパク質の多い食事をした後、熱い風呂、女性では月経の前に出ることがあります。
急性腎炎・慢性腎炎・腎盂炎・ネフローゼ症候群・尿道などの炎症や結石・妊娠中毒症
腎臓、尿管、膀胱、尿道などに何らかの異常があると、尿中にわずかに赤血球が含まれることがあります。これを尿潜血といい、肉眼ではわからない程度の量であり化学的に検出する方法で調べます。
膀胱炎・尿道炎・腎盂炎・急性腎炎・前立腺炎・腎臓や尿路の結石と腫瘍
尿素窒素は体内でエネルギー源として使われたタンパクの燃えかすで大部分は尿中に排泄されます。ところが腎臓の排泄機能が悪くなると血液中の尿素窒素の濃度が高くなります。
値が高い場合…腎機能障害・閉塞性尿路疾患・糖尿病
値が低い場合…肝硬変・劇症肝炎
クレアチニンもBUNと同様に老廃物の一種です。腎臓が正常に働いていれば尿中に排泄されますが、腎臓の排泄機能が低下すると尿中に排泄できなくなり、血液の中に増えてきます。たいていは、尿素窒素の検査と同時に行われています。
値が高い場合…腎不全・尿毒症・慢性腎炎
値が低い場合…尿崩症・筋ジストロフィー
GFR値(糸球体濾過量)を直接測定することは身体への負担が大きいため、血清クレアチニン値と年齢、性別に基づいて推算されます。こうして算出された値は、推算GFR(eGFR)値と記載されます。
値が低い場合…慢性腎臓病(CKD)
尿酸というのは細胞の燃えかすで、プリン体という物質からできており、通常は老廃物として尿といっしょに排泄されます。しかし、尿酸が腎臓からうまく排泄されなかったり、魚介類や肉類などプリン体を含む食品をとりすぎたりして尿酸が増えすぎると、尿酸塩という細かいガラスの破片のようになり、足の親指や膝の関節にひっかかった場合は、炎症を起こしたり腎臓結石の原因にもなります。
プリン体の多い食物はここで確認できます。
値が高い場合…痛風・白血病・骨髄腫・高血圧・心不全・腎炎・腎結石・妊娠中毒症
胸部X線検査は、肺や心臓の状態を知ることができます。呼吸器系では肺結核や肺ガンなどの早期発見に役立ちます。循環器系では、心臓肥大や大動脈の硬化などが発見できます。
呼吸器系の場合…肺結核・肺炎・気管支炎・肺ガン・肺気腫・肺線維症
循環器系の場合…心臓肥大・大動脈硬化症
肺機能障害の早期発見に役立つ検査です。肺は血液のガス交換を行い、体内に酸素をとりこむ重要な器官ですが、気道が狭くなったり、肺などの弾力性が低下すると、十分な呼吸ができなくなります。肺機能検査では、肺活量や、初めの1秒間にはき出した量である1秒率などを測定することにより、胸郭の大きさや呼吸筋の強さ、肺、胸郭、横隔膜の弾性などの状態を調べ、肺の異常の有無を調べます。
肺活量 値が増えた場合…気管支喘息・肺気腫
肺活量 値が減った場合…肺結核・肺線維症・肺炎
1秒率 肺気腫
呼吸器の異常を調べるのに欠かせない検査です。のどから出る痰を採取し、痰の色や量、粘り具合などから病状を調べる方法と、顕微鏡で調べたり培地に痰を植えて調べる細菌学的方法とがあります。気管支炎、肺炎、肺化膿症、肺気腫、肺結核、肺ガンなどのさまざまな病気の発見に効果があり、とくにタバコを吸う人は肺ガンなどの早期発見のため年1回は受診して欲しい検査です。
肺ガン・肺結核・気管支拡張症・肺炎・気管支炎・気管支喘息・肺化膿症・肺水腫
血液の中に含まれている赤血球数の数を調べる検査で、ヘマトクリット、ヘモグロビンとともに貧血を見つける手がかりとなります。赤血球はからだの中の細胞に酸素を運び、炭酸ガスを持ち去る「ガス交換作用」という大切な働きをしています。ですから、赤血球が少なくなると酸素を運ぶ能力が落ち、細胞が酸欠状態になります。貧血が進むとボーとしたり、ケガなどで大量に出血すると息苦しくなるのはこのせいです。
減りすぎている場合…貧血
増えすぎている場合…多血症
白血球はからだの中に細菌やウィルスが侵入してくるとどんどん増えて、それらの外敵をやっつける働きをしています。つまり白血球が増えているということは、からだのどこかに炎症が起きたり、細菌やウィルスが入って病気が起きていることを示しています。白血病の場合も異常に増えますが、これは“病気の白血球”が増えるので、白血球の種類を調べる必要があります。
減りすぎている場合…膠原病・悪性貧血・再生不良性貧血・放射線や抗ガン剤の副作用
増えすぎている場合…炎症・心筋梗塞・外傷・白血病
赤血球数、ヘマトクリットとともに、貧血の検査です。ヘモグロビンは赤血球の中に含まれているタンパクの一種で、血色素ともいわれるように血の赤さのもとです。貧血になると顔色が悪くなるのはヘモグロビンが減るためです。また、血色素の大もとになるのは鉄です。無理なダイエットやかたよった食生活からくる鉄不足が貧血を招くのはこのせいです。からだの中に酸素を運ぶのは赤血球の役割ですが、正確には赤血球の内容物であるヘモグロビンがこの働きをしています。つまり、赤血球は容器でヘモグロビンは中身ということです。どちらが減っても貧血になります。
減りすぎている場合…鉄欠乏性貧血・病気やケガによる出血が原因の貧血・悪性貧血・再生不良性貧血・溶血性貧血
ヘマトクリットも貧血の検査です。血液を採って試験管の中に入れてしばらく置くと、赤黒いかたまりの部分と薄黄色の液体に分かれます。ヘマトクリットとは一定量の血液中に含まれるこのかたまり、つまり血球の容積の割合をいいます。血球のほとんどは赤血球で占められているので、ヘマトクリット値が減れば貧血が疑われます。
減りすぎている場合…貧血
増えすぎている場合…脱水症状
血小板は出血を止めるという重要な働きをする血球です。この血小板の数が多すぎても少なすぎても、出血しやすくなります。
減りすぎている場合…血小板減少性紫斑病・再生不良性貧血・悪性貧血・白血病・肝硬変
増えすぎている場合…慢性白血病・多血症
バリウムを飲んで上部消化管を造影し、TVモニターで観察すると同時にX線撮影をして、臓器の形の変化や異常を診断します。胃ガンの集団検診で威力を発揮していますが、胃だけでなく食道から十二指腸まで調べることができます。検査の結果、バリウムがスムーズに流れ、溝が切れたりしていなければ正常とみなされますが、この判定はたいへん難しく専門家によってなされます。
潰瘍・ガン・ポリープ
肛門からバリウムを注入して大腸(直腸・結腸)を造影し、TVモニターで観察すると同時にX線撮影をして、粘膜の働きの異常を診断します。注腸X線検査ともいいます。内視鏡検査とともに、大腸ガンの精密検査として威力を発揮しています。
潰瘍性大腸炎・ガン・ポリープ
腹部に超音波を当てて、腹腔内の臓器から返ってくる反射波(エコー)を受診して映像化します。この映像から、肝臓、胆のう、脾臓、膵臓、腎臓など腹部のさまざまな異常を知ることができます。この検査は苦痛もなく、X線の被爆もない安全な検査です。
肝硬変・肝臓ガン・脂肪肝・胆のう結石・胆のう炎・胆のうガン・胆のうポリープ・膵炎・膵臓ガン
消化管からの出血の有無を調べる検査です。口から食道、胃、腸をへて、直腸、肛門に至る消化管のどこかに出血があれば、便潜血反応は陽性(+)になります。出血量が多い場合は、便の色が暗紅色や黒色となり、肉眼でも確かめることができますが、この検査では肉眼ではわからないほどの微量の出血を化学的に検出することができます。とくに最近増えている大腸ガンの早期発見に威力を発揮しています。
大腸ガン・胃や十二指腸の潰瘍やガン
いろいろな病気の程度や経過を知る上で役立ちますが、診断の決め手にはならないのでスクリーニング(ふるいわけ)検査に利用されています。腔凝固剤を加えた血液を細長い管に入れ、赤血球の沈む速さを測定します。血沈とは赤血球沈降速度の略です。炎症や感染症が生じると増えるグロブリンが、赤血球の沈降速度を促進する性質を利用した検査です。
20〜50mm…気管支炎・肺結核初期・貧血・妊娠
50〜100mm…悪性腫瘍・肺炎・肺結核・心筋梗塞
100mm以上…助膜炎・腹膜炎・血液の悪性腫瘍
溶練菌は、扁桃炎や中耳炎など、炎症や化膿現象を引き起こす代表的な病原菌です。溶練菌には13群ありますが、なかでもとくに重要なA群溶練菌に感染すると、血清中にはそれに抵抗するためのASOという抗体ができます。そこで血清中にできる抗体、つまりASOの値を測定することによって、溶練菌に感染しているかどうか調べるのです。
リウマチ熱・扁桃炎・咽頭炎・中耳炎
梅毒にかかっているかどうかを調べる検査です。現在でも症状の現れにくい潜在性の梅毒は減っていないので、早期発見・治療のためにも大切な検査の1つです。梅毒以外の原因でも検査の結果が陽性になることがあるので、確認はさらにいくつかの検査が必要になります。
梅毒・膠原病・肝臓病
炎症や病気などでからだの組織が壊れたときに血中に増えるタンパク質で、24時間以内に急増し2〜3日後には減少するので、炎症の早期診断に役立ちます。また、ほかの検査と組み合わせることによって、急激な組織の破壊や病気の重症度、経過、治療成績などを判定することができます。
| 【CRP数値の基準値の範囲】単位(mg/dl) | ||
|---|---|---|
| 一般的な基準値の範囲 | 0.3以下 | |
| 軽い炎症などが検討される範囲 | 0.4〜0.9 | |
| 中程度の炎症などが検討される範囲 | 1.0〜2.0 | |
| 中程度以上の炎症などが検討される範囲 | 2.0〜15.0 | |
| 重体な疾患の発症の可能性が検討される範囲 | 15.0〜20.0 | |
膠原病・細菌感染症・心筋梗塞・悪性腫瘍・胆石症
リウマチ疾患の代表的な検査でラテックス凝集反応ともいいます。リウマチ患者の血清中にはリウマチ因子と呼ばれる「自己抗体」がありますが、この因子はγ−グロブリンと結合する性質をもちます。そのため、リウマチ因子の検出方法としてγ−グロブリンを含んだ試薬を血清中に入れ、凝集反応を見ることで判定します。
膠原病・心筋梗塞・肝臓病
身長と体重を測って肥満度を出し、太りすぎ、痩せすぎをみます。とくに肥満は生活習慣病の温床であり、症状がなかったり、他の検査データに異常がみられない場合でも、なるべく標準体重に近づけるように努力する必要があります。一方痩せすぎている場合、とくに短期間で大幅に体重が減ったときは、ガンや糖尿病などの病気が隠れているいることがあります。
肥満の場合…高血圧・動脈硬化・脂肪肝・胆石症・痛風
痩せすぎの場合…甲状腺機能亢進症・糖尿病・ガン
音の強さはdBという単位で表されます。検査は外部の音を遮断した部屋の中で行われます。耳にレシーバーを当て、オーディオメーターから発せられる音を片耳ごとに聞き取って聴力を測定します。
中耳炎・先天性難聴・耳下腺炎・ウィルスの感染・聴神経腫瘍
検査は5m離れた所から視力検査表を見て、ランドル環という切れ目のついた輪が見えるかどうかで判定します。
近視・遠視・乱視
緑内障の診断に欠かせない検査です。眼球の固さを測定することで、眼球の内圧の変化を調べます。
緑内障・高血圧・糖尿病
ガンの早期発見のための手軽なスクリーニング(ふるいわけ)検査です。ガン細胞が生み出す特殊な物質(腫瘍マーカー)を血液中から見つけ出すことで、ガンの存在を知ることができます。現在10数種類の腫瘍マーカーが発見されていますが、どんなガンでも増えるものもあり、ある種のガンでしか増えないものもあります。また陽性でもガンとは限らなかったり、小さいガンでは検出できないことがあるなど限界もありますが、バイオテクノロジーの進歩に伴って今後さらに有効な検査になると期待されています。
甲状腺の機能を調べるのに欠かせない検査です。血液の中には、1分子あたり3個のヨードを含むT3と、同様に4個のヨードを含むT4という甲状腺ホルモンが溶け込んでいます。これらはからだのエネルギー代謝を調節する重要なホルモンですが、甲状腺の異常で多すぎたり、不足したりすると、さまざまな障害が現れます。
値が高い場合…バセドウ病・甲状腺腫瘍
値が低い場合…甲状腺機能低下症・ネフローゼ症候群